日本のエンターテインメント業界に革命を起こした角川映画の初期ヒット作品『犬神家の一族』(1976)、『人間の証明』(1977)、『野性の証明』(1978)のシネマ・コンサートが2018年4月13日(金)、14日(土)に東京国際フォーラム ホールAで開催される。
このコンサートは、三作品の音楽を手がけた作曲家・大野雄二が、本公演限りの総勢約50人によるスペシャル・ジャズ・オーケストラ〈大野雄二と“SUKE-KIYO”オーケストラ〉を結成。映画の名場面と生演奏との共演を実現させるだけでなく、自らも鍵盤奏者として演奏するという、贅沢な2DAYSのコンサートだ。
そこで本公演の全ての鍵を握る大野雄二自身に、映画を絡めた構想やテーマ曲を歌うゲストの松崎しげるとダイアモンド☆ユカイへ寄せる期待、更に同級生でもある石坂浩二とのエピソードまで語ってもらった。

──今回の三作品を振り返られてどのようなことを感じましたか?

今は、こういうオールスターキャストで、バブリーな派手な劇伴ものを取り上げるような時代じゃないよね。『人間の証明』と『野性の証明』は、お金を使わないと制作できないスケール感がある。そういった作品に対して責任を取るにはプレイヤーの人数や豪華さが必要かと思って、今回は50人のオーケストラを入れることにしたんだ。だから、こちらもお金はかかっているよね(笑)。

──大野さんご自身はシネマ・コンサートをご覧になったことはありますか?

ないんだよ。だからいいんじゃないかなって思ってね。好き勝手にやらせてもらうので、『音楽を全ての映像的な部分と合わせることに重きをおかないでくれ!』って、散々スタッフにも言っているからね。

──いわゆるフィルムを流して、それに合わせてリアルな演奏を生で聴く、と言った従来のシネマ・コンサートとは違うような気がしますね。

映像に音楽を全部合わせるんだったら、映画を観たほうがいい。今回は生演奏なんだから、そこは違う感じにしたい。例えば、演奏している時に、バックで映画のオムニバス的な映像が流れてもいいし、ジャストで映像に合わせてもいい。編集してもらって、そこにピッタリくるような映像があったり、映像が途切れちゃっても音は残ってるような事があってもいいと思う。その中にアドリブとかが出てくる。それに、2DAYS演るので、まったく同じ内容にはならないと思うよ。

──大野さんご自身が生粋のジャズメンですので、演奏自体も一体どのようなものになるのか期待が膨らみます。

みんなと同じことをやるのが嫌いなんだよね(笑)。でも今回は映像を合わせることもあるし、50人以上のオーケストラだから、きっちりと譜面は書くけどね。でも、譜面を守ってもらいながらも、プレイヤーが遊べる箇所をいっぱい作っておきたい。要はクラシック的には作っていないっていうこと。だって、今回のオーケストラで中心になるメンバーはルパンを演奏しているYuji Ohno&Lupintic Sixとそのファミリーだからね。
譜面と言えば、市川(崑)さんの時のサントラは、レコーディングの時に「違う!」って言われて、その場で譜面を書き直しているものばかりだから、もうちゃんとしたスコアがないんだよ。だから、今回のコンサートのために、僕が映像を観ながらもう一回耳で譜面を起さないといけないんだよ。

──大野さんは指揮者ではなく、プレイヤーとして出演されるのですよね?

弾きながらだと映像とキッカケを合わせないといけない場所があるから、大変なんだよ。だから指揮者は別にいた方がいいかなと思って。僕は演奏する時は、作曲家ではなく、あくまでもプレイヤーでいたいんだよね。

──3つの作品(『犬神家の一族』『人間の証明』『野性の証明』)はどのような構成で上演されますか?

この三作品の中では『犬神家の一族』のインパクトが一番強いんだよ。だから1部でまず『犬神家の一族』を演奏して、主演の石坂(浩二)さんと僕が対談して、2部で『人間の証明』と『野性の証明』を演奏する予定だよ。

──歌唱部分では松崎しげるさんとダイアモンド☆ユカイさんがご出演されますが、お二人にはどういった事を期待していらっしゃいますか?

松崎さんとは昔、CMの仕事を一緒にやったことがあって、歌声がやっぱり凄かった。町田義人の若い感じとは違うけど、その分“味”があるので、楽曲をどう表現してくれるのか期待している。ダイアモンド☆ユカイさんに関しても、彼が「人間の証明」を歌ったらどうなるのか、僕自身が聴いてみたい。それにしても贅沢だよね。2人はこのコンサートで1曲ずつしか歌わないんだから。(ちょっとハプニングが起きる予感もあるけど・・・フッフッフッ)

──トークゲストの石坂浩二さんとは慶応義塾大学の同級生だったそうですね。

実は、当時の僕はジャズに相当入れ込んでいて、同級生が人気俳優になっていたことを知らなかった。あるCMの仕事で、ナレーションを石坂(浩二)さんが、音楽を僕がやることになって、そこで初めて分かったんだ。それから直ぐにアルバムを2枚くらい一緒に作ったね。

──非常にオリジナリティのある公演ですね。見たことのないことが起きそうです。

実は『ルパンコンサート』ではバックに映像を流して演奏することもあるんだよ。画があると楽しいけど、全てのシーンで映像を出すとうるさいよね。だから、あくまでも演奏がメインで、場所によって画を入れている。今回のコンサートでも、そこらへんかなり踏み込むつもりだよ。

PHOTO:木場 ヨシヒト